#PrideHair

黒いひっつめ髪に象徴される「就活ヘア」、
地毛なのに黒染めを強要される「地毛証明書」など、
髪における日本の同調圧力。
2018年よりパンテーンはブランドメッセージ
「#HairWeGo さあ、この髪でいこう。」のもと、
ひとりひとりの個性について考えるきっかけづくりを
キャンペーンとして展開してきました。
画一的な就職活動について考える3年目。
2020年秋、
今年は元就活生でLGBTQ+の方々の体験談から、
自分らしさを表現できる就職活動について
考えたいと思います。

日本でLGBTQ+層に該当する人は全人口の8.9%、
左利きの人やAB型の人と同じだと言われます。
LGBTQ+の就活生の70%が
セクシュアリティを伝えたくない理由に、
「差別・ハラスメントへの恐れ」を挙げています。*
服装もメイクも髪も、内に秘めた気持ちも、
本当は自分の個性を出して就活したい。
でも、不安。
それは、誰もが少なからず思うことかもしれません。
LGBTQ+の就活生の中にも、
そんな悩みを抱える人たちがいます。
多くの人が感じる就活時の暗黙のルールの中で、
元就活生たちはどんな髪で、
どんな自分らしさの表現で就活をしたのでしょうか。
そこにあった悩み、考え、希望を、
後輩のために語ってくれました。
14人の就活時の貴重なエピソードから、
いま、一緒に考えてみませんか。
すべての人の就活を、自分の個性を偽る場ではなく、
自分を、自分らしく表現できる場にするために。

パンテーンは、あなたらしい髪で一歩を踏み出す、
すべての就活生を応援します。
* 認定NPO法人ReBit調べ 2019
※掲載しているプロフィールについては2020年9月時点のものとなります。

性別欄に○をつけた瞬間に
自分が消えていく感覚。

就活でまず初めに戸惑ったのは、履歴書等の性別欄。「男」と「女」しかないので、毎回仕方なく「女」に〇をつけました。でもそのとたん自分が消えていく感じがする。ハローワークの面接セミナーでは手の置き方まで、女性らしくするように注意される。些細なことばかりですが、悔しい思いをしていました。

「坊主じゃなければいいや。」

日本で就職するならリクルートスーツにローヒール、ということはわかっていましたが、ハーフなのでどんな髪型でも何を着ても溶け込みようがない。「どうせ目立つのだからいいや」と、髪型はアンダーカット、服装はレザージャケットで受けました。面接では「まあ、坊主じゃなければいいか」と笑われました。そう簡単に女という枠にはめられたくないという思いを外見に出しているのに、結局「女」という存在には変わりなかったんです。

LGBTQ+にはどこからでもジャブが。

面接の時に「結婚は?」と聞かれたので、そういうことを聞くような会社なのだと思い、自分から性自認に関して話そうという気持ちは失せました。ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容)セミナーでも担当者の口からトランスジェンダーの話は一切出てこない。同僚や上司に「その髪なんなの」「ヒール履かないの」「ビール注いでくれないの」「子供産みたくないなんて最低だね」と言われる。いつどこからジャブが来るかわからないのがLGBTQ+なんだと思いました。

本当のLGBTQ+フレンドリー企業
であるということ。

LGBTQ+フレンドリー企業というのはいろいろな人に対してフレンドリーで、いろいろな人が幹部にいることが前提。企業ホームページの役員や社員の顔がみんな同じ肌色だったり女性が少なかったりすると、どれほど「あなたらしさを表現してください」と言われてもできない。LGBTQ+フレンドリーとは色々な肌の色、様々な外見や障害を持つ人を受け入れること。あらゆる文化や宗教や社会階層の人を受け入れること。全体的な話ができてないとLGBTQ+フレンドリーではないと思います。

文章に潜む、LGBTQ+、
障害、人種、すべての差別を正したい。

今は外国語学者として、作家や翻訳者の英語の文章に潜んでいるLGBTQ+・障害・人種等に対する差別的な言葉遣いを直す仕事をしています。この仕事ができる幸せを感じているし、髪や服装も自由。「今日は何言われるだろう」と心配したり、「何を言われてもキレるな」と自分をなだめることもない。それもまた、泣きたくなるくらい幸せなことです。

性別で悩んで、就活を一年遅らせた。

大学3年になって、就職活動を始めようという時。みんなは何の職種にするか、どの会社を受けるのかと悩んでいたけれど、私はまず男性のスーツを着るか女性のスーツを着るかが問題。そんな段階ではまだ就活できないと、一年遅らせました。気持ちを固めるために。

就活の暗黙のルール、一つに縛った髪で。

結局女性のスーツを着て女性として就活することにしたのは、社会に出て最初の大切な就職で失敗したくなかったから。ロングヘアなのに、男性用のスーツも一回試着してみるというくらい迷いました。髪が長かった理由はトランスジェンダーと気づかれたくなかったからです。性の象徴でもある髪は、偽りの象徴にもなる。長ければバレない。ちょっとでも短くしたら、バレるのではないかと怖かったんです。だから就活ルックとも言われる暗黙のルールの、一つに縛った髪をしていました。

本当の意味での自分らしさを隠して。

「LGBTQ+フレンドリー」と表明している企業でも、エントリーシートの性別欄に男女の2択しかないと戸惑ってしまいました。面接の担当者が理解してくれるかはわからない。リスクを回避するためには、女性として就活する方が良いと思いました。就活で一番大切な自己アピールは、本当の意味での自分らしさを隠してするしかなかったんです。

入社前のカミングアウトで、
男性として入社へ。

私が内定をいただいた企業は、入社前に「入社サポーター」による面談がありました。そこで思いきって「男性として入社したいけど、そう言ったら内定取り消されるでしょうか?」と相談しました。そこからサポーターを通しての人事の対応が素晴らしかった。「うちの会社としても初めてのことでわからないことだらけだけど、一緒に進んでいきましょう」と言ってもらえたんです。

サポートする立場になりたい。

私の就職は同じLGBTQ+就活生の中で稀な例なのかもしれませんが、入社した会社は変わることを恐れず、LGBTQ+の社員に対応すべく変わっていっています。嬉しかったのは、入社した日。社員の皆さんのパソコンがなんかカラフルなんです。みんなが「LGBTQ+アライ(理解し支援する人)」のレインボーのステッカーを貼っていてくれた。私が今笑顔で体験談を話せるのは、こういう理解があるからです。それが当たり前の世の中になるように、後輩のためにサポートしていけたらと思っています。

外国人だからみんなと違うことも許される。

LGBTQ+団体のリーダーとして活躍したことがあるので、それを職務経歴書に書きました。それが自分のセクシュアリティに関するヒントといえばヒント。あまり話したくないので、就活時にも積極的には話しませんでした。聞かれたこともありません。私の見た目は一般的な女性とは違いますが、ちょっと違和感を感じても、日本人じゃないからみんなと違うことが許されている気がします。

ジェンダー・セクシュアル・
アイデンティティのラベル。

ジェンダー・セクシュアル・アイデンティティは私のアイデンティティの一部に過ぎません。でもそれを伝えることで、企業がそれ以外の自分を見てくれないのではないかと思いました。ジェンダー・セクシュアル・アイデンティティでラベル付けをされてしまうような。自分の一部分だけのせいで差別され、内定が取れないというリスクを冒したくない。だから就活でも伝えませんでしたし、就職しても話せないと覚悟していました。

片方刈り上げというヘアスタイルで就活。

髪型や見た目はそんなに心配しなかったです。ヘアスタイルは、片方刈り上げ。この髪型で採用してくれる職場なら、採用後も自由な髪型で働けると思いました。自分のありのままの、好きな姿で就活すれば、就職した後もそのままでいける。実際そうしています。採用されなかったら、そういう環境に入るべきじゃないんだと思っていました。でもそれは、ある程度自分のやってきたことやスキルに自信があったからかもしれません。

みんなが好きな服装、
好きな髪型でいいのでは?

LGBTQ+の人だけでなく、誰しも勇気を出して自分らしくいることは簡単なことではないと思います。でも、就職してからの時間は大半職場で過ごすことになるし、自分を偽るために、時間や労力、お金を使わなくていいと思います。

カミングアウトから半年で就活を始めて。

カミングアウトして見た目も女性に移行し始めてからわずか半年で就活を始めました。普通のメイクも上手じゃないのに就活メイクなんてまるでわからない。身長が高いので女性用のリクルートスーツが見つからない。でも私の場合は合格してから性別を変えるのではなく、働きたい状態で受けることを選びました。

LGBTQ+に限らず、
就活は周りにとけ込むこと、
面接は安心感をプレゼンする場。

就活を始めて思ったのは、就活は自分をアピールする場ではなく、バランスの良さとか欠点の無さ、この人を採用して不安がないということを、アピールする場であるということ。そこには社会人としてちゃんとした見た目ということも含まれています。目立ってはいけない、「普通」に自分をおさめるために「他の人とちがうところ」を切り捨てる。LGBTQ+の人は切り捨てる部分を大きくしなければならないのだと思います。

LGBTQ+フレンドリーは
企業の先進性の指標、
当事者以外の人にも判断基準になる。

「弊社はLGBTQ+アンフレンドリーです」と言う企業はないわけで、内情がどうなのかを知りたいと思いました。LGBTQ+はリトマス紙のようなもので、多様性を推進する先進的な企業の指標になるという意味では、LGBTQ+フレンドリーな会社かどうかというのは当事者以外も判断基準にすると思います。LGBTQ+フレンドリーを表明していた企業を受けた時、「自分は理解するけど、上が何というかわからない。」と正直に言われ、辞退した経験があります。ダイバーシティ推進室はあっても、知識はそこにとどまっていて会社全体には届いていないこともあると思います。

髪はアイデンティティの象徴。

就活のために心の性別を隠してしまうとき、服やメイクでは嘘をつけるけれど、髪だけは嘘をつけません。カミングアウトしてからの2、3年はひたすら髪を伸ばしていました。長い髪が、自分が生きたい性別やプライドの象徴でした。でも今はそんな呪縛から逃れて、ただ長いよりも心地よくて似合う髪を選べるようになりました。でも「髪を切りました」とSNSにポストしたら「え?男に戻るんですか?」という反応があって。世間はやはり「髪が長い=女性、髪が短い=男性」と見ているのだと思いました。

男性、女性、その他の欄があってもいい。

私が入社した会社は、LGBTQ+に対して特にマニュアルは無く、個別に対応してくれました。健康診断ひとつとっても自分がどう受けるのが心地よいかは人それぞれなので助かります。また、入社してから非公式ですがLGBTQ+の集まりがあることも知りました。あるという事実が大きい。エントリーシートひとつとっても、「男性」「女性」に加えて「その他」の性別欄があってもいい。「その他」につけている人がいたら、そこから話が始まる、理解が始まると思います。

誰にとっても、リアルな素のままの
自分をアピールするのが本当の就活。

内定をもらうためにはどうしたらいいのか。面接の時の正しい答えが何かもわからなかった。ずっと的外れなのではないかと不安でもありましたが、マニュアル本を読んで勉強することはやりたくなかった。リアルの素のままの自分でアピールするのが本当の就活だと思ったからだと思います。

髪を1週間で消えるカラーで黒に染めて。

服装のルールは無視しました。みんなが着ていたスーツ、みんな同じデザインのバッグではなく、自分がかっこいいと思うスーツ、かっこいいと思うバッグにしたい、という気持ちでした。だからずっとスカートではなく、パンツでした。でも髪だけはドラッグストアで買える1週間で消えるカラーで黒く染めました。学生の時ずっと明るく染めていた色の髪では、さすがにアウトだと思った。

セクシュアリティに関する
知識と理解の乏しさ。

就活ではセクシュアリティについて考えることもありませんでした。それより、とにかく内定がほしかった。今の職場でも、セクシュアリティについては話しません。年齢層が私より上で、結婚して子供もいる人が多く、保守的な世代なのかもしれません。セクシュアル・マイノリティについての知識があまりにも薄く、「まあ、あの人はゲイだからね」というようなことを無神経に言ったりします。自分のセクシュアリティについて話しても理解されそうもないので、言うつもりはありません。仕事をやることに支障はないけれど、理解が進めばいい、そしてそれには啓蒙が必要だと思います。

海外と違う、日本の就活のプレッシャー。

私は外国人ですが、日本の就活ではもっと「女性らしい」見た目と行動しないといけないというプレッシャーを感じました。海外と違って堅い雰囲気があると思います。LGBTQ+ということとは関係なく、自分らしい行動をとると、失礼に感じられたり、受け入れてもらえなかったりすることを恐れていました。

本当に自分らしくていい社会だったら、
髪がブルーでもいい。

大学時代は好きな色に髪を染めていました。本当に自分らしくしていいと思える社会だったら、髪の毛をブルーに染めて就活もしたかったし、そうしていたと思います。自分らしい見た目にできると、より自信が持てます。また自信を持つことで、より仕事もがんばれるのだと思います。でも日本での就活ではそれは良くないとわかっていたので、就活のために短くしていた髪を伸ばして黒い髪のままでいました。今は明るすぎない赤に染めています。就活の時よりは今の方が自分らしい見た目でいられている気がします。

入社後にカミングアウトして。

就職活動中に、自分がLGBTQ+だと言うことを伝えようと思ったことはありません。差別されるのではないかと思ったからです。就職した企業は特に「LGBTQ+フレンドリーです」などという情報がなかったので、期待はしていませんでした。入社直後、不安はありましたが、上司含め、何人かの同僚にカミングアウトしました。差別されることもなく安心した一方、差別のない環境づくりを企業の規則や理念に含めるというのが理想だと思います。LGBTQ+の皆さんにはいろいろ不安があると思いますが、徐々にでもいいので、勇気を持って、自分らしくいる努力を忘れないようにしてほしいと思います。自分らしく他の人と向き合うことで、自分らしいあなたと向き合ってくれる人たちが増えていくと思います。

優しい人が多そうだから、
老人ホームを職場に選んだ。

初めての職場だけは男性を装っていました。運送業でしたが、男女で仕事内容が違ったり男性だけ残業があったり。残業をしないと「男なのに」と言われて、休みがちになりその後辞めました。次は傷つかなくてすむ職場にしたかった。高齢者が相手なら優しい人が多いのではないかと、老人ホームを選びました。事前にジェンダーのことを伝えてあったので、初日からみんなが「ちゃん」づけで呼んでくれた。その気持ちが嬉しかったです。

今でもうなされる短髪の夢。

運送業を辞めた後は女性として就活しました。性別の欄は女性に丸をつけて、女性としてスーツを着てメイクをして、特記欄に「性同一性障害」と書きました。髪はずっと長いまま。中学生の時に頭髪検査があって、耳が見える短い髪をしなければいけないのが辛かった。今でも、短髪で学ランを着ている悪夢をみます。パッと目が覚めて、髪あるかな、髪長いままだよね、って確かめちゃいます。

職場に望むことは、傷つく覚悟を
しないでその場にいられること。

職場環境で安心できるのは、いわゆる普通という感覚でいられること。気を遣われすぎたり、腫れ物に触るような扱いを受けない。笑われたり指を指されたりするのではないかとびくびくし、全身に力を入れて攻撃を受けても耐えられるように生きるんじゃなくて、自然にいられることが理想です。

どうして職業の幅を
狭めなければいけないんだろう。

老人ホームでは、裏方で隠れて仕事をするような感覚でした。表に出て、お客様と接するような仕事をするのが不安だった。でも何で仕事の幅を狭めているんだろうって思い、レストランのホールで働いてみたんです。自分が女性として生きていけるのか、人としてちゃんと働けるのか、肌で感じてみたかった。そこにはいろいろな国籍の人も働いていて、自分だけがマイノリティではないと思うことができました。

LGBTQ+への対応、その未来を信じて。

現在は、企業や医療現場、教育現場での講演や研修を通してLGBTQ+ヘの理解を伝えています。LGBTQ+アライ(理解し支援する人)のレインボーのフラッグを壁に大きく掲げてくれている大企業もあります。パッと目に入るだけで、味方がいるんだ、と生きていく希望になります。私は身長が185cmあって靴のサイズも大きいけれど、大きい女性用靴を展開している企業もあります。LGBTQ+への理解はこれからどんどん進んでいって、もっと過ごしやすい世の中になるんだと思います。未来を信じてもいいかな、未来に期待かなと思い始めています。

「やっぱりゲイだったんだ。」

就職や転職活動ではとにかく、そつなく目立ち過ぎないようにまわりと同調することに腐心していました。ある企業の役員面接で私の髪型が話題になり「髪型より仕事に気を遣ってもらいたいね」という男性役員の発言に続けて人事担当の女性管理職が「ちょっとゲイっぽく見えますよね」と発言したことから「キミその気あるの?」という典型的な「性的指向と性自認」に対するハラスメントトークが続いたことがあります。その場で選考辞退を申し出ました。退室してドアを閉めた際に聞こえた、室内の「やっぱそうだったんだ」という声。今でも覚えています。

社内に理解と受容の意識を。

新卒で入社した会社、その後転職した2社でも、自分がセクシュアル・マイノリティであることを隠すしかない環境。常にバレることがないかと細心の注意を払っていました。最近職場でカミングアウトしたので、今は全くそういうことがありません。この状況に不満はありませんが、長らくカミングアウトしようとしなかったのは、気安くオープンにできる雰囲気がなかったからなのかもしれません。もう少し社内に理解と受容の意識を醸成させる取り組みがもっとあってもいいのではないかと思います。

全ての人が会社側にとって
都合の良い「あなたらしさ」じゃない、
本当の自分らしさを。

人事で障害者採用を担当しているので口では「あなたらしさ」という言葉を当然のように使い、相手に求めています。でもその実「あなたらしさ」とは会社側にとって都合の良い「あなたらしさ」であって、本当の意味での「あなたらしさ」ではない。または受け入れようとしていないのではないか、という反省があります。今年から社内で始まった、「LGBTQ+を理解し受け入れる活動のチーム」に当事者(ゲイ)として参加したのは、会社都合の拠らない本当の意味でのあなたらしさ、自分らしさを出せる会社でありたいと願っているから。そのためのカミングアウトでした。今はショートヘアですが、いわゆる同年代のサラリーマン的ではないです。気に入っているこの髪型で、前へ進んでいきたいと思います。

就活は自分らしくいるより、
周りから浮かないこと。

面接は私服でも良いということでしたが、リクルートスーツをそのために買いました。就活は「女性=スカート、ヒール」というイメージが非常に強く、スカートには抵抗があってパンツスーツにしたものの、普段履かないヒールを履きました。髪もいつもはショートヘアのことが多く、その方が自分らしいと感じますが、就活の際は伸ばし黒に染めました。自分らしくいることより、周りから浮かないよう意識を強く持っていたと思います。

ジェンダーやセクシュアリティを
隠すために。

就職後も、周りに気づかれないようするため、服装や髪型には気を遣っていました。髪を伸ばしパーマをかけたり、女性らしく見える服装にしたり。伝える気待ちは全くありませんでした。できれば隠し通したいと言う気持ちが強かったです。企業・世間的にもジェンダーやセクシュアリティをオープンにするイメージは強くなく、特に触れられることもなかったので、自分からあえて触れる必要もないと思いました。

みんなが理解を深められる環境作りを。

自分のセクシュアリティについて、抵抗無く言える環境が企業にあったらいいなと思います。自分らしさを出したりLGBTQ+でもいやすい環境をアピールしている企業は増えてきましたが、多くが実際には中身が付いてきていないというイメージ。企業が表明していても、働いている人々がみんな理解しているわけではありません。みんなが理解を深められる環境作りも積極的に取り入れてくれたら、より自分らしくいられる人が増えるのではないかと思います。

すべての人が自分らしく、より楽しく、
生まれてきてよかったと思えるように。

一方、自分らしく居られる環境ができるのを待つだけではなく、作っていくことも大事だということを痛感しています。隠して我慢して生きるのではなく、なるべく自分らしくいる勇気を持つこと。これから先の長い時間を、偽った自分でいる努力ができるくらいなら、その努力を逆に使った方がいい。より自分らしく、より楽しく、生まれてきてよかったと思えるように。今まだセクシュアリティについては会社の人に伝えてはいませんが、服装や髪型を自分らしくしていて、少しずつではありますが私自身も前へ進んでいる気がしています。

カミングアウトが不利?
逆に戸籍上の性別を隠すが不利?

就活を始めた頃はホルモン注射を始めて間もない頃。声が低くなったり体が筋肉質になったり、少しずつ男性化していた時期でした。だから見た目の性別はほぼ男性、戸籍上の性別は女性という状態。エントリーシートの性別欄にはどちらの性別を書いたらいいか悩んだし、面接やグループディスカッションでは、自分が見られたい男性として見られているか?面接でカミングアウトすることで、自分が不利に見られることはないか?逆に戸籍上の性別を隠すことは問題にならないか?いろいろと不安でした。

「伝えてくれてありがとうございます」
という面接官の言葉。

最終面談で名前の由来を聞かれ「言うなら今しかない!」と思い、トランスジェンダーであること、生まれた時は女性の名前だったが、改名して今の名前となったことを伝えました。面接官は、「伝えてくれて、ありがとうございます。何か困ったことがあればいつでも言ってください」と自然に、ニュートラルに対応してくれてとても安心しました。

LGBTQ+への福利厚生も
ネットワークも充実した会社で。

就活時は周りから男性として扱われること、男子トイレを使うことなど、男性としての生活が何もかも初めてでした。社会人として働いていく中で、それにも慣れ「やっぱり自分は、この性別の方が自分らしく、心地よく生きられる」という確信が強まっていきました。今の会社は、LGBTQ+を含めたマイノリティへの福利厚生・人事制度も充実しており、社内にもLGBTQ+当事者・アライ(理解し支援する人)のネットワークがあります。様々な仲間とつながることができ、自分らしく働けています。服装もスーツ、ビジネスカジュアルな服装と自由で、髪型も清潔を心がけているだけ。就活時と特に変わっていません。

LGBTQ+以前に、一人一人を
尊重する会社の文化が醸成されていること。

LGBTQ+フレンドリーを強調することは悪いことではないですが、LGBTQ+以前に一人の人間・社員・個人として尊重する会社の文化が醸成されていることが、何より大切ではないかと思います。その土壌のある企業であれば、たとえ現状LGBTQ+に関する制度がなくても、いざという時に柔軟に対応できるのではないかと思う。性別・セクシュアリティの前に、人間として素敵な人が集まった組織は魅力的だと思います。

視野を広げて、本当にやってみたい仕事を。

就活をする中では、「自分がどう見られるか?」「どちらの性別で見られているか?」ということを気にしてしまいがちだし、「その会社がLGBTQ+フレンドリーか?」ということにも目が行きがちになると思います。でも少し視野を広げて、性別やセクシュアリティのことを一旦置いて考え、自分が本当にやってみたい仕事、心の底から興味のある仕事にチャレンジしてほしい。きっと、自分らしく働ける場所に巡り合えると思います。

本当の自分を表現する権利はない。

私が新卒で就活をした当時は「LGBTQ+」という言葉は当事者すらしらない時代で、戸籍の性別で働くこと以外に選択肢はないと思っていました。また当時は、明確に女性、男性として求められているものがあり、それは服装、髪型、言葉遣い、座り方等多岐にわたっていました。そのため、本当の自分を就活の際に表現しようという発想さえありませんでした。「普通ではない」自分に、そんな権利はないと思っていました。

自分が我慢できるラインと
社会に受け入れられるラインの
境界線を探る。

本当は男であるという認識をもった自分にとって、女性として行う就活は「忍耐」でした。女性用のパンツスーツ、最低限のメイク、耳が隠れるくらいのショートヘア。意識して声をオクターブあげて、女性らしい仕草をするということ。トランジションをし、男性として生活をすることができている今、こうやってあの当時を思い起こすだけでも少し胸が苦しくなります。またトランスジェンダーだったため、就活以前に企業や職業の選定から選択肢は限られていました。男性である自分が我慢できるラインと、戸籍上の性別である「女性」として社会が違和を感じないラインの境界線を探って対応していました。

「お父さんと同じように背広を着て
ネクタイを締めて働きたい」
という夢を叶えて。

就職後は女性として働いていましたが、10年経った時にカミングアウトし、トランジションをしました。今は男性として働いています。会社がLGBTQ+施策推進をする業務を行うことを許可してくれたので、社内における理解啓発や制度導入に取り組んでいます。その結果、トランスジェンダーであることをオープンにして入社を希望してくれる就活生も出てきました。子どもの頃の「お父さんと同じように背広を着て、ネクタイを締めて働きたい」という夢を叶えられた今、会社にはとても感謝をしています。そして、自分を偽らずに本当の自分として働くことができるということが、ストレスなく本来の業務に集中でき、パフォーマンスを発揮することに有効であることや、良好な人間関係に結びつくということを身にしみて実感しています。自分を偽って10年間働いた過去があるからこそ。

企業が求めているのは、
みんながそれぞれ違った
個性を持つ「個」かもしれない。

時代が変わった今、企業が求めている人材は本当にそれぞれ違った個性をもつ「個」なのかもしれません。異なる存在が集まり、それぞれの違いをいかに理解し、受容し、そのうえでよい化学反応を起こして価値を創造する。その重要性、影響力の大きさを真に理解している企業が、今後予期せぬ環境の変化にも耐え成長していくと思っています。

「それはあなたの本当にしたい格好ですか?」

就活はレディースのスーツでしました。トランスジェンダーとは伝えませんでしたが、メディア制作会社を受けた時には「セクシュアル・マイノリティ当事者として、当事者の子どもに向けたコンテンツを作りたい」ということは、伝えました。その時、私の見た目について面接で「それはあなたの本当にしたい格好ですか?」と質問されたんです。私は答えることができませんでした。

就活でトランジションの気持ちを固めて。

そんな風に就活する中で女性として社会で生きていくのはどうしても無理だと思い始めました。そして内定をもらった日、トランジションしようと決意したんです。経済的に自立できることが確定した、その日に。

 男性として入社することに。

入社する時に、「いつかトランジションしたいと思っている」ことを伝えたところ、「入社前に不安をなくす面談」を組んでいただけて、そこで話したことを人事につないでもらえました。「好きな服を着て来ていい」「トイレも好きな方を使っていい」「安心して来てください」と言われて、決心がつきました。入社前夜に初めてスーツを着てネクタイを締めた時、これからは経験したことのない苦労が待っているという不安もありましたが、何より「良くも悪くもやっと自分の人生が始まる」と感慨深かったです。

髪の色と髪型、
みんながもっと自由にしていいと思う。

就活の時、周りの女子はみんな髪を一つくくりにして前髪を斜めに流して。その髪型はかなり厳格に決まっていました。私はショートのままでしたが、黒く染めていました。奇抜な髪をしてマイナスポイントを作ることはないと思ったからです。以前LGBTQ+向けの就活イベントでトランスジェンダー女性の相談にのった時、長めの髪の男性のようなヘアスタイルを見て「本当は思い切り伸ばしたいのでは?」と苦しくなりました。LGBTQ+でなくても、誰にとっても、面接は無難な髪で無難に乗り切ることが大切。今も街であの髪の就活生を見かけると、色も髪型も自由でいいのにと思います。

髪型、服装の自由度や
LGBTQ+へのサポート体制も、
企業は明文化してほしい。

LGBTQ+に対してサポートを表明している企業は増えていますが、当事者向けの説明会に行かないと当事者の社員、まして就活生向けの情報は入りにくいです。髪型一つをとっても、本当に自由な髪で行っていいのか、実際に会ってじっくり話してみないと温度感は伝わりにくい。髪型や服装の自由度も、LGBTQ+へのサポート体制も、企業は明文化してくれたら就活生も安心できるのではないかと思います。

悪目立ちせず、
企業から求められる人材に見せるために。

就職活動をしていた当時は、「ありのままの自分」を見せるというより、企業から求められている人材に見せることにより注力していたように思います。変なところで悪目立ちしないように、いつも気を張っていました。企業や採用担当によってはゲイへの理解がなく不利かもしれないと思ったので、自分がゲイであることを伝えようとは思いませんでした。自分のセクシュアルオリエンテーションによるバイアスをかけられることなく、自分の能力や人柄によって評価をしてほしいと思っていました。

カミングアウトしても
変わりない態度やサポート。

保守的な業界なので、配慮に欠いたことを聞かれることもまだまだあります。彼女の有無をしつこく聞かれたり、いないと話すと「もしかしてゲイなの?」と不躾に聞かれるなど。しかし現在の職場では信頼できる同期や先輩も多く、少しずつオープンにできるようになってきました。ゲイであることをカミングアウトしても、それまでと変わりなく付き合ってくれて、サポートしてくれる同僚が数人でもいてくれる。それは非常に心強いです。また、最近はLGBTQ+に関する研修が行われるようになっており、理解が徐々に進んでいるのを肌で感じています。

髪型も、自分が好きなスタイルで。

もともと黒髪・短髪だったこともあり、髪型等について深刻に悩んだことはありませんでしたが、就活では髪をより短くしていました。今はひげを生やすようになりました。クライアントがあっての仕事なので、もちろん清潔感には気をつけなければいけませんが、できる範囲で、自分が好きなスタイルを取り入れるようにしています。

LGBTQ+やダイバーシティについての
メッセージを発信する企業が増えている。

LGBTQ+のサポートを表明している企業でも、必ずしも従業員全員が十分な理解をしているわけではありません。同世代の友人も、不安や嫌な思いをすることがなく職場でオープンにして働けている人は多くありません。しかしLGBTQ+やダイバーシティについてのメッセージを積極的に発信している企業が増えていることは、当事者の一人として心強く思いますし、社会の認識を変える大きな意味があります。メッセージがすみずみまで行き届き、働きやすい環境が整うことを願っています。

自分自身に誇りをもって、
自分らしく働ける会社を。

企業のカルチャーや働き方は、ホームページやパンフレットだけではわからない部分もあるので、そこで働く人に話を聞き、自分が合うかどうか検討してみるのがいいと思います。自分のいいところ、自分らしさを忘れず、たくさんの人に出会って、相談して、考えて、納得できる決断をしてほしいと思います。

「こうあるべき」という
レールの上を歩いてきて。

就活よりもずっと前、子どもの頃からずっと「こうあるべき」の上をはみ出さないように歩いている感覚で生きています。周りから求められることを言っておけばいいんでしょ?と感じていて、例えば自分の好きな色が自分でもわからなくなったりしています。黄色とかオレンジとか男女に振り分けられないような色を答えておけばいい、と思っています。

「こうでなければ」が強い日本の就活で、
自分を二分しての就活。

男性で就活をやると決めてはいたものの、いざ近づいてくると男性で就活することによって全部落ちてしまう不安が大きくなってきました。苦渋の決断で、男女両方で就活することにしたんです。女性としての就活は滑り止めみたいな感じで。そもそも日本の就活は「こうでなければ」という色が強い。就活の冊子には「男性はこう、女性はこう」という絵があって服装も髪型も決まっていたので、男性用と女性用、両方のスーツを買って絵にはまるようにしていました。自分を二分して、男性側と女性側を生き分ける、使い分けることが一番重要だと思っていました。

就活は全部が大変だった。

大学の時はLGBTQ+に関する学生団体の立ち上げから活動していて、後輩の育成や講演などかなりの時間と力をそこに注いでいました。でもセクシュアリティを明かさないとそのことに関しては一切アピールすることができない。中途採用は職務経験から何ができるかを伝えるが、新卒は学生生活の中で何をやってきたかを伝えるべきなのに、自分が評価される可能性があることを話せない。選択肢を狭めていると思いつつ、カミングアウトすればもっと選択肢を狭めるとも思っていました。

使い分けできないのが、髪。

午前と午後で男性用と女性用のスーツを着替えたりネクタイを外したり、化粧をしたり落としたり。でも一番大変だったのは、すぐに伸びたり切ったりできない髪型でした。逆に言えば、自分にとって一番アイデンティティが表れるのが髪。だからこそ本当は、最も抑圧と無縁であるべきなんだと思います。

自分が望むジェンダーで働けるか、
に囚われすぎないでほしい。

LGBTQ+就活生の中には、ジェンダーのことに囚われすぎて「本当は自分は何がしたいのか」「仕事を通してどういう自己実現をしたいか」ということを考える余裕のない人も多いと思います。社会に出ると視野も広くなり選択肢も増えますし、今は転職も当たり前の時代。自分の目指すキャリアやスキルを諦めず、仕事の本質を見据えてほしいと思います。

Campaigns



これまでの「#HairWeGo さあ、この髪でいこう」 キャンペーン

 #令和の就活ヘアをもっと自由に   

 #この髪どうしてダメですか 

The Hairy Tale